ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマを結ぶ「非核の火」碑前で現地集会


「核兵器廃絶を求める原発被災地集会」が福島県楢葉町の宝鏡寺境内でヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマを結ぶ「非核の火」を灯す会主催で3月11日に行われました。200人を超える参加者でした。
 東日本大震災が発生した時刻の午後2時46分に黙とうをしました。
 日本宗教者平和協議会から10人が参加しました。
 集会では「宗教者の原発廃炉への願い」表白と祈りを小山弘泉本願寺派僧侶と鈴木君代、森修覚両真宗大谷派僧侶が行いました。早川篤雄・宝鏡寺住職に捧げる「非核の火」を作詞・作曲した鈴木君代・真宗大谷派僧侶・シンガーソングライターが歌いました。

 集会は共同代表であり宝鏡寺の早川千枝子さんが開会あいさつを行いました。
 主催した「非核の火」を灯す会共同代表の伊東達也さんは「福島からの手紙」と題して、「東電福島第1原発事故から14年の福島の現状と課題」として政府が閣議決定した第7次エネルギー基本計画で原発最大限活用を打ち出したこと。今回の改定は、これまで掲げてきた「可能な限り原発依存度を低減する」との規定を投げ捨て、「最大限活用」を掲げていることに最大の眼目がある。福島の現状は、避難者が5万人、例えば、避難指示が解除された校域での小中学校の通学者は事故前の15%で、移住者が半分を占めていますので、もっと少ない。政府は事実を隠していると指摘。第7次エネルギー基本計画の意見を上げるよう呼びかけました。
 伝言館の館長で立命館大学安斎育郎名誉教授は「原発にかかわって61年、反対運動に53年たちましたが、振出しに戻った感があります。それは、デブリの取り出しが0.7グラム、8億8000グラム全部取り出すに何年という計算ができない。見通しもないのが現状と国と東電の責任を指摘しました。
 浪江町津島地区の実態報告をアルバムを通して馬場靖子さんが自身が撮影した古里の写真パネルをかざして語りました。
 12日津島地区を訪問し調査しました。(次ページに報告掲載)
 続いて、宝鏡寺住職の早川光明師が挨拶しました。
 「本日は大震災の日に『原発被災地集会』としてこの宝鏡寺に参拝して頂きましてありがとうございます。叔父の早川篤雄から法燈を継承いたしました光明と申します。前住職は、悲惨な原発事故を後世に伝え、二度とこのような過ちを繰り返さないようにと境内にこの「伝言館」を2021年3月11日に開設、「ヒロシマ、ナガサキ、ビキニ、フクシマ」の「非核の火」として、灯し、「原発悔根・伝言の碑」を入口に建立したのです。「非核の火」を消さないように今後とも皆さまのご協力をお願いします」とあいさつしました。

第7次「エネルギー基本計画」の撤廃を求める声明


 世界の安穏と平和を願う私たち宗教者は、2012年以来「東日本大震災犠牲者追悼・原発廃止廃炉を願う諸宗教による祈りのつどい」を福島県浜通りの寺院・教会において勤めてまいりました。本年も楢葉町の宝鏡寺境内の『ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマを結ぶ「非核の火」』碑前にて祈りを捧げてまいりました。また、今もって98.4%が「帰還困難区域」である浪江町、その中でも第一原発の過酷事故発生により多くの町民が避難した津島地区の現状を調査してきました。津島地区は現在、特定復興再生拠点区域に指定され、年間放射線量20mSv以下という国際基準の20倍の基準の下での生活が強いられています。途中の国道114号線の走行中、車内の計測器の放射線検知音は、トンネルを出る度に連続音が鳴り響きました。また、溶解した燃料デブリの回収は0.7gに過ぎず、8億8千万グラムの回収の具体的な目処は立っていません。
 このような現状の中、去る2月18日に第7次の「エネルギー基本計画」が閣議決定されました。これまでの「計画」では、原発依存の低減が示されていましたが、7次では再生エネルギー・原子力発電が同等に、むしろ新型の増設をはじめ原発の最大限活用が目論まれています。実質的に破綻をきたしているプルサーマルの推進や、実現の困難に直面している核融合発電を含めた「フュージョンエネルギー」という新たな「神話」を作り出そうとしているようです。これでは原発事故の被災者及び避難を余儀なくされている人々を愚弄し、絶望へ落とし込む「犯罪計画」と言えましょう。「脱炭素」という看板の中身は原発依存であり、原発が「安全性(safety)を大前提に、エネルギー安定供給(Energy Security)と環境への適合(Environment)を図る」という「S+3e」が確保され、安心安全が「神話」でなくなったというのであれば、電力の最大消費地である都市部への原発設置が最適となるではないですか。今、日本がなすべきは、「原発信仰」の憑依から目覚め、30年度まで原発ゼロ・石炭火力ゼロを達成することです。生活とエネルギーの在り方の根本を見つめ直すべく第7次の「エネルギー基本計画」の撤廃を求めます。

2025年3月20日
日本宗教者平和協議会