年頭所感
代表委員 山崎 龍明 浄土真宗本願寺派・法善寺
「おめでとう!」と言えない現実
新しい年の幕開けです。しかし、素直に「オメデトウ」とは言えない現実があります。昨春もそうでした。皆様はいかがでしょうか。
80歳を過ぎた私ですが、憲法擁護の集会などに行くと私よりはるかに年を召した方々に力を戴きます。若い頃はお年寄りばかりだ!と思っていましたが、今は違います。この方々が戦後80年「憲法」を曲がりなりにも遵守してくれた方々だと思っています。特に毎月の「憲法」集会に参加される作家、沢地久枝さんのその純粋なひたむきさに、言葉を超えた魅力を感じます。80歳だから少し自粛しようなどと考えていた自分が恥ずかしくなります。
「いのち」あるかぎり、この国の「宝」である憲法を、なんとしても守らねばならない。壊してはならないという思いでいっぱいです。「日本国憲法」草案にかかわった、シロタ・ベルタ・ゴードン女史のこの「憲法」は「真珠」であるといった精神を守り続けたいと思います。この「憲法」のもとでおよそ80年、戦争を起こさなかった歴史を我々は軽視してはいけません。それを誇るべきであることが、今の世界状況が教えてくれます。
私は地元の「憲法9条を守る会」に所属しています。そしてお隣の小金井市9条の会、小平市9条の会、宗教的には「念仏者9条の会」の会員として、いのち続く限り「日本国憲法」、とりわけ「9条の精神」を世界に広げるために力を尽くしたいと思っています。さて永年の辛苦の中、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)がノーベル平和賞を受賞しました。おどろき、かつ喜びました。しかし、ここから先人の踏跡をにない、新たな出発をするときです。幸い授賞式に参加された高校生の若さ溢れる発言がとても頼もしく映りました。戦争の放棄は人類共通の悲願です。核廃絶を共通の課題としなければなりません。
しかしこの国の首相(岸田、石破等々)は廃絶どころか「核抑止」を振り回しています。反対に署名も拒んでいます。そのみじめな国の姿が世界中に広がってしまいました。平素声高に「国を愛している」と言う政治家が、この国をおとしめています。政治屋ばかりで政治家不在のつけが、白日のものとなりました。今年も皆様方と共に手を携えて「核抑止」から「禁止」への歩みを一歩でも前へ進めなければなりません。まさにその「危険水域」に私たちは今立たされています。次世代の日本人や、世界の次世代の人々を「核」の恐怖に陥れることは絶対に許されません。宗教者の根本的な課題です。
日本被団協ノーベル平和賞受賞ノルウェー同行記①
日本宗平協事務局次長・日蓮宗富士山大乗坊住職 小野 恭敬
日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)が2024年ノーベル平和賞を受賞し、12月10日にノルウェーの首都オスロにて授賞式が行われた。 このたび私は、宗平協国際関係担当として、原水爆禁止日本協議会(原水協)などが主催するツアーに参加し、現地サポート役として、被爆者12名、2世・3世20名、またそのご家族8名の総勢40名の被爆関係者に随行する形でオスロに派遣された。(12月8日〜12月13日)
長時間のフライトに
極寒の北欧
デンマーク経由の便で、日本被団協と往路復路とも一緒であった。空港で代表の田中熙巳さんや田中重光さんらとお話しする機会を得られた。飛行機は現在ロシア上空を飛行できない為、アラスカから北米を横断しグリーンランドを渡って欧州に入った。地球を反対側に一周した形となり、コペンハーゲンでの乗り換えも含めると、20時間近い長旅であった。
現地オスロ市は最低気温がマイナス10度日中でも氷点下の寒さで、車道にはアイスバーンになっている箇所も多々ある極寒の地であった。旅の疲れも時差もある中で、ご高齢の被爆者の方々にはとても難儀な旅程だったと思うが、車椅子でも現地でお祝いしたいという方々もいらして、私たち若い世代がしっかりサポートしないといけないと身の引き締まる思いだった。
現地で数々のイベント
オスロには実質3日間の滞在であったが、被爆者証言会、ノルウェー国会議員との交流、被爆樹木の植樹セレモニー、ノーベル平和センターでの特別展見学、現地NGOとの交流会等々、数多くのイベントが企画予定されていた。
私達の別動グループは近隣のパブリックビューイングで授賞式を見守った。日本被団協の代表委員、田中熙巳さんが行った受賞スピーチは大変素晴らしかったと、同行の被爆者の方、2世の方も喜んでいた。私も現地でスピーチ原稿を受け取ったが、原案にはない主張もその場のアドリブで盛り込むなど、メッセージ性の強いものとなり、核兵器廃絶の願いが全世界に向けて発信された。
平和賞受賞の意義
ノーベル賞を創設したアルフレッド・ノーベル博士はダイナマイトの発明と販売で巨額の富を築いた訳だが、ダイナマイトは戦争の兵器としても使われ、心を痛めたノーベルは軍縮・平和を願い、平和賞の構想は当初よりあったとされる。ダイナマイトから時を経て究極の戦争兵器となった原子爆弾の犠牲者かつ被爆者らが、そして、ロシア、イスラエル、北朝鮮といった「核のタブー」を揺るがす国家に対して「核を持たずして核使用の抑止力たらんとする」被爆者らが、今回のノーベル平和賞に選ばれたことは、世界にとって大変有意義なことであり、また浄土にいるノーベル博士にとっても本望であると私は強く感じている
写真で見るオスロ
ここからは写真に沿って紹介していきたい。
授賞式前日の朝から国会議員に折り鶴を手渡すイベントが催された。私達はホテルも2カ所に分散していたので、ここで初めて皆が勢揃いできた。ノルウェーの国旗が翻る国会議事堂を背景に記念撮影と壮行会を行った。
広場隣のグランドホテルにて。左から日本被団協事務局次長の和田征子さん、
ICAN事務局長のメリッサ・パークさん日本被団協事務局長の木戸季市さんと筆者
オスロ大学で被爆樹木の植樹
オスロ大学植物園において、被爆樹木のセレモニーが行われた。7年前、ICANがノーベル平和賞を受賞した際、寄贈された銀杏や黒金餅の種はしっかり木々に成長していた。
今回も持ち込んだ被爆樹木の植樹祭が行われ、佐久間さんが挨拶された。
左の写真。左から広島被団協理事長の佐久間邦彦さん、ICAN川崎哲さん、日本外務省軍縮担当
図書館ホールにて被爆証言会
夕食後、ICANノルウェーが市民を対象とした被爆証言会をオスロ市図書館にて開催し、広島で被爆した橋爪文子さんが証言を行いました。会場は満席となり、橋爪さんは被爆時の衝撃や惨状を伝えました。元オスロ市長なども加わり、核兵器廃絶に向けてのトークショーも開催。オスロ市民の平和への意識の高さを感じるイベントになりました。
オスロの街を唱題行脚
オスロ現地でノーベル平和賞を共に祝った仏教僧侶は私一人であったようだ。だからといって僧侶を代表しているつもりは毛頭なかったが、宗教者として、戦争に反対し、平和を希求すること、そして地球上のどこであろうと核の悲劇が二度と起こらないよう「ノーモア ヒバクシャ」を主張することは、決して間違っていないと信じている。この点で、日本の仏教者も「ノーベル平和賞受賞を喜んでいる」ということをノルウェーに、世界に示したいと思っていた。
授賞式後には何百人ものノルウェー国民が参加する恒例の松明パレードが予定されていた。
外気温マイナス10度に届きそうな極寒のなか私は、誰もが一目で僧侶と認識できるよう、法衣をまとい帽子は被らず、日本仏教者、日蓮法華の行者であるべく、団扇太鼓片手に唱題行脚を行なったのだった。
「非核の火」のローソクを、ノルウェー国会議員の方々、またノーベル平和センターの館長に、原爆・原発の犠牲者のシンボルだとして、手渡して参りました。この経験を今後の活動に…
(つづく)
尹錫悦政権の「戒厳令」措置の暴挙に抗議する韓国市民への緊急連帯声明
わたしたちは日本と韓国、そして朝鮮をはじめ、東アジアの真の平和を求め、これまで日韓の市民連帯を続けてきました。
一昨日12月3日、午後10時半頃、韓国の尹錫悦大統領は緊急談話を発表しながら、政権に対する弾劾訴追をはじめとする政治家、官僚をはじめ韓国市民の抗議の声を封殺するために非常戒厳令を宣布する措置を断行しました。それに対し、韓国国会では直ちに190名全員が昨日午前1時頃、「非常戒厳令」解除要求を決議し、その結果、午前5時頃、尹錫悦政権は「非常戒厳令」の解除を発表しました。
この非常戒厳令措置に対し、大韓弁護士協会、韓国金属労働組合、韓国女性団体連合、や韓国カトリック主教会議議長、そして「ユン・ソクヨル違法戒厳令糾弾、内乱罪のユン・ソクヨル退陣 、国民主権実現のための全面的抵抗運動を宣言する全国民緊急行動」などの諸団体から抗議声明が発出され、市民運動の闘いは広がっています。
非常戒厳令宣布はおよそ6時間半後に解除されたとはいえ、尹錫悦政権はこの度の理不尽な非常戒厳令宣布措置によって憲法の保障する市民的権利を蹂躙した責任を追及する声は一層高まりつつあります。さらに国会における尹錫悦大統領に対する弾劾訴追に至るまでの事態をこれまで招いた政治責任追及の動きはこれまで以上に高揚することが予想されます。
わたしたちは今、日韓基本条約締結60年、そして日本の敗戦80年と韓国・朝鮮の解放80年となる来年2025年に向けて日本と韓国・朝鮮とが真の和解と平和の構築のために日韓市民のさらなる相互理解と連帯を深めようとしています。わたしたちは、この東アジアにおいて疑心暗鬼と敵意をあおり、いたずらに軍事拡大に暴走し、南北朝鮮と東アジアの緊張をかえって激化させる日韓両政府の軍事同盟化の道に断固反対します。
わたしたちは、憲法9条の精神を尊重し、対話による平和外交と市民の連帯こそが東アジアの平和構築の唯一最善の道と確信します。 その理念を共有する韓国市民が尹錫悦政権の失政と暴挙に対し抗議しながら退陣を要求する自由と民主主義の闘いに、私たちは熱い連帯の意志をここに表明します。
2024年12月5日
日韓和解と平和プラットフォーム日本運営委員会
日本宗平協賛同しました